「ハムレット!ハムレット‼」(小学館)

新刊本が本日11月9日付で発売されました。シェイクスピアの戯曲「ハムレット」は時代を超えて読み続けられ、演じられてきました。そして読者は、ハムレットやオフィーリアをイメージし、小説やエッセイ、また絵画・彫刻などのメディアを使って、想像をふくらませてきたのです。もちろん世界中で。


この「ハムレット!ハムレット‼」には、もくじ通りに並べると、太宰治、芥川比呂志、志賀直哉、小林秀雄、ランボオ(小林秀雄訳)(中原中也訳)、大岡昇平、ラフォルグ(吉田健一訳)、福田恆存、小栗虫太郎、久生十蘭のパスティーシュ(作品の特徴を強調して、新たな創作性を示すことを意図した表現)がズラリと並んでいます。大正時代からの素晴らしい読書体験のオンパレード!この本の興味深くておもしろい点は、読み比べができること。様々な作者の時代を超えての文章が響き合い、また不協和音に笑えること。ハムレットを読みながら笑顔になれる本は珍しいと思う。

この本は、刈谷政則さんという編集者の40年間のコレクション。今なら指先ひとつで調べられるだろうけれど、彼の夢の実現がなければ読むことの出来ない空間が出現します。編集者の言葉も楽しんで下さい。

新作として、谷川俊太郎さんの詩、そして光栄なことに「私のハムレット」の版画も収録されました。

山本容子


「ハムレット!ハムレット!!」
小学館(定価:2,800円+税) 2021.11.9