TITLE:【Book】新刊 草の竪琴(村上春樹 訳)
新刊です。孤独な少年コリンと、壁から床までピンク色の部屋に住んでいた無垢な老女ドリーの、ツリー・ハウスをイメージしてレインツリーをピンクに塗ってみた。
装画:山本容子
草の竪琴
トルーマン・カポーティ 著 、村上春樹 訳、山本容子 装画
2025/06/26 新潮社
2,695円(税込)
https://www.shinchosha.co.jp/book/501410/
新刊です。孤独な少年コリンと、壁から床までピンク色の部屋に住んでいた無垢な老女ドリーの、ツリー・ハウスをイメージしてレインツリーをピンクに塗ってみた。
装画:山本容子
草の竪琴
トルーマン・カポーティ 著 、村上春樹 訳、山本容子 装画
2025/06/26 新潮社
2,695円(税込)
https://www.shinchosha.co.jp/book/501410/
MOMASコレクション
特集:デビュー50周年 山本容子
会期 2025年6月7日(土) 〜 8月31日(日)
会場 埼玉県立近代美術館
休館日 月曜日(ただし、7月21日、8月11日は開館)、6月24日(火)~6月27日(金)
開館時間 10:00~17:30(展示室への入場は17:00まで)
観覧料 一般200円、大高生100円
コレクション展の初日です。
デビュー作から約70点の作品が、一直線に並び、時の流れになっている。シリーズごとに浮かぶ顔や風景。そして私の姿の変化を知る資料展示。丁寧な学芸員の頑張りに頭が下がる。とてもひとりでは生きてこられなかった事を知り、お世話になった方々に、お礼を伝えながらひとりで鑑賞した。
夕方になり、集まってくださった方々とレストランポポロで乾杯。ワインを飲んだこともなかった23歳の私へ乾杯!皆さまありがとうございました。
山本容子 2025.6.10
雨を見る青蛙、那須のアトリエ。
私の右肩のピカソの油絵は美術館のコレクション。
20代からの友人河野さんの左隣は、私の作品「pica picasso (1982)」ピカソのポートレートです。
このような展示は、コレクション展ならではの遊びです。
作品「Walking Worker Warhol (1982)」と少年3歳。
彼のTシャツはWarholの「キャンベルスープ缶」です、何という演出。嬉しいです。
プレヴェールの詩の部屋。
プレヴェールの詩「CHANT SONG」の部屋。Tシャツの少年が見ているのは〈Children Enfant〉。
英語と仏語で同じ意味の言葉を並べた詩。Childの少年が見ている。絵の中にも少年がいます。
MOMASコレクション
特集:デビュー50周年 山本容子
会期
2025年6月7日(土) 〜 8月31日(日)
休館日
月曜日(ただし、7月21日、8月11日は開館)、6月24日(火)~6月27日(金)
開館時間
10:00~17:30(展示室への入場は17:00まで)
Redden Garden <After Eyes> 1983 ソフトグランド・エッチング
展覧会がはじまりました。
昨日、雨の中、北浦和公園を通り抜け、埼玉県立近代美術館に、6月7日(土)からはじまるコレクション展の作品展示のお手伝いに行ってきました。大きな樹々は雨を吸いとり、緑の息をはいていました。やさしい雨は、すべてのモノを洗って下さる気がして、私の気持ちも50年前に版画を始めた時代に戻れたような気がしました。
大変光栄な事に、ピカソと壁続きで私のコレクション展がはじまっていました。1975年のデビュー作「Papa’s and Mama’s」は、銅版画とコラージュとシルクスクリーンを加えた最初の一点目です。23歳の時の大きな自分のサインを見て笑ってしまいました。当時の緊張感を思い出したからです。
現在まで続く道は決して一本ではなく、多声音楽のように何本もの線が響き合い、宙に浮かんでいます。
まずは、美術館のコレクション展に展示された70点を当時の資料と共にご覧いただきたいと願っています。
山本容子
Papa's and Mama's <JUNE BRAND'75> 1975 エッチング、シルクスクリーン、フロッタージュ
埼玉県立近代美術館 公式HPはこちらから
魅力全開谷川ワールド
谷川俊太郎さんの没後はじめての本が出版されました。
「谷川俊太郎のあれやこれや」谷川俊太郎作(筑摩書房)
谷川さんは生きていると錯覚します。なので、カバーの絵は谷川さんのポートレートをデッサンしてみました。どれも谷川さん似です。1人だけ宇宙から参加したC3-POがいます。
山本容子
刈谷政則さん編集の自伝風の読む年譜付。
8ヶ月間の展覧会が終了しました。村上春樹ライブラリーに、秋・冬・春、そして夏の予感のする今まで通った道は、目的地が大学構内ということもあり、毎回若返るような気持ちで歩いていました。
到着すると私の昔の姿に出会います。27歳でカポーティの作品を読みながら何を考えていたのだろう?どうしてこんなモノ描いたのか。記憶をたどっては楽しんでいました。
村上春樹ライブラリーは素晴らしい場所です。海外からの来場者で、いつも生き生きとしていながら、それぞれの世界に籠ることができて静かです。
この展覧会場では、子どもたちとも対話ができました。
古くから作品を観続けてくれた遠方からの人達とも時代を越えて話がはずみました。初めて会った外国の方と写真を撮りながら、お互いの緊張が友情に変化するような気分を味わいました。
とても新鮮な気持ちで敬虔でいられました。
この機会を私に運んで下さった皆様に感謝します。そして道をまだ歩いてゆきたい。未知と出会いたいです。
2025.5.28 山本容子
お世話になった早稲田大学国際文学館のスタッフの方々と。
早稲田大学小野記念講堂にて「プラテーロとわたし」のトークは、ロバートキャンベルさんとしました。
その後、歌と朗読ー波多野睦美さん、ギター演奏ー大萩康司さんと一緒に私の版画が、動きました。
雨の中、来てくださり有難うございました。
国際文学館の展覧会は、早いもので後10日となりました。 是非ご覧いただきたいです。
山本容子
シリーズ:赤毛のアン 「Snow Queen」 1990 soft-ground etching, gouache
子どもと大人 ギャラリーツアー
4月26日(土)に展覧会場に子どもと大人のカップルを招き、ギャラリーツアーをしました。児童文学の展示作品を子どもたちと観ながら話をしたのです。結論を先にお伝えしますと、子どもの頃の私と相談をしながらの時間でしたが、とても楽しい体験になりました。
このツアーは念願のイベントです。きっかけは15年前にスウェーデンで「アートインホスピタル」の現場を取材したとき「子どもの病院」で教えられた事でした。そこでは、患者の子どもと保護者の大人が共通の話題で対話することがお互いの「薬」になるというのです。
たとえばエレベーターの中全体に壁画のように描かれた絵のテーマはスウェーデンの昔話でした。ほとんどの大人はストーリーを知っています。この話を子どもに聞かせながら診療室までの廊下を歩くと、この時間が子どもと大人のリレーションシップを生み出す種になるというのでした。
確かに子どもと大人が、共に興味を持つ話題は、世代が離れるほど難しくなりがちですが「お話が好きな子ども」と「お話が好きだった子どもだった大人」の間では世代を越えても対話が出来るものです。
私の描いた絵で物語がわかるのか心配でしたが、手を挙げて「赤毛のアン」がいます。と答えてくれた女の子がいました。
ほっとしましたよ。ありがとう。 山本容子
鏡の国のアリスのギャラリートーク写真
オーディオを聴いている三歳の子ども
コラム
鏡の国のアリス
キャロルの「不思議の国のアリス」、「鏡の国のアリス」は、94~2010年にかけて制作し続けているが、今回その全てを展示してみて、まだまだ続きを描いてゆきたいと思った。謎の多い物語には、その謎を解きながら、伴走する喜びが隠されている。「鏡の国のアリス」は特に、チェスゲームのルールが解らないと物語が読み解けない仕組みになっているのだ。私は、物語を読み進めながら、チェス盤に旅に出たアリスをどうしても、鏡を通り抜けたアリスの家に連れて帰りたいと思い、チェス盤の4マス目の真中に鏡を出現させてほっとしているが、この読み方、そしてイメージの捉え方を楽しんでほしいと願っている。
山本容子
「Tweedledum and Tweedledee」2010年、ソフトグランド・エッチング、手彩、2839.5cm
コラム
「白雪姫」の絵本
「白雪姫」を絵本にするのは難しかった。なぜなら、読みはじめたとたん“七人の小人”は「ハイホー、ハイホー」と頭の中を歌いながら行進する。あの小太りの愛らしい姿で。「鏡よ鏡。世界で一番美しいのは、だあれ?」と鏡をのぞきこむ“まま母”の強烈な顔。物語はすでに子供の頃に獲得したイメージで一杯になっていたのだ。追い出さなくてはいけない。その方法を思いつく。それは、思い出せない登場人物を探すこと。結果、重要な役割なのにイメージ出来ないのは“かりうど”だった。“まま母”の命令に背き、“白雪姫”を助けた恩人。正義感の強い男。まずは彼の顔を描いてみよう。 この時期、私はチェコの旅から帰国したばかりだった。旅の目的は、カレル・チャペックの家(現在は博物館)を訪ねること。彼は作家であり、ジャーナリストで園芸を好み、戦争を憎んだ人。民衆新聞の各欄に、コラム、随筆、寓話と文体を変えながら記事を担当し、ペンでファシズムに対抗しようとしたヒューマニスト。著書「コラムの闘争」を読んだ私は、ウィットにあふれ、ユーモアに包まれた文章に心を奪われていた。本の最後の「ごあいさつ」というコラムの、国は違ってもあいさつをする相手をイメージすることが出来れば、戦争は食い止めることが出来る。というメッセージは強い。優しくて強い人、カレル・チャペックを“かりうど”にしようと思いついた。顔は、画家の兄ヨゼフ・チャペックのキュービズムの作品にしてみよう。
こうして誕生した“かりうど”を物語の真中に置くと、彼に命令する“まま母”が生まれ、“白雪姫”を助ける“七人の小人”が、ギクシャクと画面に登場したのだった。
お城も家具も衣装も、チェコキュービズムのスタイルにした「白雪姫」はこのようにして誕生した。
山本容子
「白雪姫とかりうど」1992年、ソフトグランド・エッチング、手彩色 20×21.5cm
コラム
アリスの世界の不思議
「アリスの世界」は、つぶやきでできています。アリスはつぶやきながら、世界をグニャリと歪めていく「現在進行形」のところが好きです。たとえば物語の冒頭、時計を持ったウサギを追いかけて、ウサギ穴にゆっくり(「ゆっくり」の上に強調の点4つ)と落ちてゆくアリスは、飼い猫のダイナにエサをあげてこなかったことに気づきます。洞窟には、ダイナのエサになるものはない。はずですが、アリスは洞窟にはコウモリが居ることを思い出し、コウモリはネズミに似ているので、ネコはコウモリを食べるかもしれない。と発想を飛ばすのです、この自分勝手に論点をずらし安心してゆく過程がつぶやきの面白さなのです。もうひとつ、アリスがズンズン大きく姿を変え、訪問した家が破裂しそうになり、エントツからトカゲのビルを弾き出してしまうシーンがありますが、ビルは結局地面にたたきつけられ失神してしまいます。「トカゲの失神シーン」は、描くにはもっとも難しかったのですが、失神した顔が描けた時、私もやったとつぶやきました。ビルの失神シーンさがしてね。
山本容子
「The poor little Lizard, Bill」2008年、ソフトグランド・エッチング、手彩色 28×39.5cm