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02月の記事一覧

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜はなうた巡礼〜

February 25.2021



『待ちぼうけ』1999年 ソフトグランド・エッチング、グワッシュ / 紙 20×16cm  ©️Yoko Yamamoto


Artist's Notes:
ここでは、ぜひ兎の動きを連続で見ていただきたい。初めの♪まちぼうけ まちぼうけ…… で、兎はうっかり飛んで出てきたばかりに「ころりころげた木のねっこ」だった。ところが、2度目の♪まちぼうけ まちぼうけ…… では、兎はもう学習していて、ぶつかるのがわかっているから、ぶつかると見せかけて、余裕で寝転んでウインクしたり、いくら少女が♪うさぎぶつかれ木のねっこ と見ていても、ねっこの上にひょいと乗っかったり。歌詞から兎を賢い存在としてとらえ直し、絵にしたもの。音符のところどころに「荒野の箒草」のような枯葉がついている。



今回「待ちぼうけ」で思い出したシーンは駅の改札口。
鎌倉駅には、伝言板があった。それも黒板とチョークの。
約40年前、鎌倉の海のそばにアトリエがあった。雨漏りのするボロ屋。
来客が多くて軽自動車で送迎をしていた。

人を待つ間、黒板の他人の待ちぼうけのボヤきを読むのが好きだった。悪趣味だけど。
本物のきどったのや、怒ったのや、愛ある言葉や別れの言葉が
本人の署名入りだったのが、今となっては信じられない。
私は改札口を気にしながら、書きたくて、でも書くことがなくて恨めしかった。
そんな伝言板を読み、立ち去る人のことも覚えている。立ち去ることもしたかったなあ。


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TITLE:【Others】読売新聞 夕刊 「たしなみ」挿画

February 24.2021

2012年4月から読売新聞夕刊の隔週火曜日に、現代の人間関係のありようや世相を考えるエッセーを集めた「たしなみ」のコーナーの挿画を制作しています。

2020年9月からの作者は星野博美さん(作家・写真家)、恩田侑布子さん(俳人)のお二人です。9年目に入った連載を引き続きお楽しみください。


©Yoko Yamamoto

読売新聞夕刊「たしなみ」挿画、2021年2月24日のテーマは「オンライン会議のマナー」星野博美さんです。

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Posted by: lucas

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜はなうた巡礼〜

February 18.2021



『叱られて』1999年 ソフトグランド・エッチング、グワッシュ / 紙 20×16cm  ©️Yoko Yamamoto


Artist's Notes:
この曲を聞くと、どうしても、夜遅く、電柱の電球が灯った頃というイメージがある。叱られて、泣きながら薄暗い道を歩いている少女が思い浮かぶ。だから、♪しかられて しかられて(左)の音符は涙の形。8分音符と4分音符は黒い涙、2分音符はブルーの涙だ。下段の♪ゆうべさみしいむらはずれ(右)では、8分音符と4分音符を黒い星、2分音符を黄色い星にして、チカチカ星がまたたいているような感じにした。♪コンときつねがなきゃせぬか で出てきて、天を仰いで鳴いている狐は、ルーカスがモデル。この「コン」という言葉が、心にしみる。

     


押し入れからの脱出に慣れてきた。叱られても、恐くなくなったのだった。
そんな時、叱られた後「出て
いきなさい」と言われ、家から閉め出しをくらった。
扉も窓にも鍵がかけられていて、中にいれてくれと叫んでも返事がないのが恐かった。
誰もいなくなったようにシーンとした部屋をのぞいた。
今から考えると、不思議なことにカーテンに少し隙間があった。
外が暗くなってくると、電気がついて、祖母や母の姿が見える。
ガラス戸をトントンとたたいてもこちらを見てくれない。

そして、家族の夕食がはじまる。空腹と恐怖。家の中に入れないことより、忘れられたことが怖かった。
疎外感という孤独に震えた。またしても、妹が助けに来てくれたのだった。
あまりの恐さに何をして叱られたのか、忘れてしまっていたのだけれど。


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TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜はなうた巡礼〜

February 11.2021



『村祭』1999年 ソフトグランド・エッチング、グワッシュ / 紙 20×16cm  ©️Yoko Yamamoto


Artist's Notes:
♪村の鎮守の神様の ♪年も豊年満作で とあるように、秋には豊年満作を祝い、鎮守の神様に感謝してお祭りが行われてきた。私が子どもの頃に住んでいた町でもお神輿(※左)が出て、神社の境内には夜店が並んだ。浴衣を着て出かけるのが待ちどおしかった。夜店では、ヨーヨーやセルロイドのお面は買ってもらえたが、祖母や母からどうしてもお許しが出なかったのがりんご飴。私に虫歯ができるのを恐れてのことだというが、同じ駄菓子(※右)なのに、なぜわた飴はよくて、りんご飴はいけなかったのか。今でも友だちが舐めて舌を真っ赤にしていたあのりんご大の飴のことは忘れられない。

     


今までについたあだ名はふたつ。”デメキン”と”ヨーヨー”。
デメキンは小学三年生の時、大阪から東京に転校した時についた。デメキンは金魚すくいの時にはじめて知った金魚だった。黒い色と尾やヒレをひらひらさせながら地べたに置かれた四角い水槽の中を泳ぐ姿が、ブキミにユーモラスだった。水槽の中は真っ赤なキンギョばかりだったので、黒いキンギョの目と口がつき出た容姿はブサイクでもあった。
当時の私は背の高いヒョロリとしたカラダに飛び出した目と、出歯気味の大きな口がついていた。転校生のブキミさを見てソク思いついた存在の違和感が言葉で表現されたわけだった。容姿だけではなく、大きな声で話す”大阪弁”がヘンナ感じだったのだろう。男の子たちが大きな声で”デメキン”と私のことを呼び、からかいながらも仲良くしようというメッセージに聞こえていた。
”ヨーヨー”は大学二年の時、版画の基礎を学び、自分のサインを考えていた。YokoをYo.と短くして Yo. Yamamto としたら、先輩達がYoは呼び名としても親しみがあって良いとほめてくれた。
私も気にいって現在まで使っているが、ある時英語の辞書に、”yo-yo”とは”どこにでもいる馬鹿者”という訳を見つけてとても嬉しくなったことを覚えている。馬鹿者はこれから賢者になるんだという声明のように思った。なんとなく。”ヨーヨー”は子供の時から大好きな色とりどりの風船の中に水の入ったオモチャであった事もなんだかうれしいあだ名である。
今でも時々ヨーヨーと呼ばれると幸せな気分になる。


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TITLE:【Others】読売新聞 夕刊 「たしなみ」挿画

February 10.2021

2012年4月から読売新聞夕刊の隔週火曜日に、現代の人間関係のありようや世相を考えるエッセーを集めた「たしなみ」のコーナーの挿画を制作しています。

2020年9月からの作者は星野博美さん(作家・写真家)、恩田侑布子さん(俳人)のお二人です。9年目に入った連載を引き続きお楽しみください。


©Yoko Yamamoto

読売新聞夕刊「たしなみ」挿画、2021年2月10日のテーマは「出会いふれあいのマナー」恩田侑布子さんです。

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Posted by: lucas

TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜はなうた巡礼〜

February 04.2021



『どんぐりころころ』1999年 ソフトグランド・エッチング、グワッシュ / 紙 20×16cm  ©️Yoko Yamamoto


Artist's Notes:
♪どんぐりころころドンブリコ…… と歌いながら、私はなぜか〈どんぐり子〉というものをイメージしてきた。左上から「どんぐりころころ」と転がるどんぐりを描いたが、顔があるものよりも後ろ姿(※左)のほうが〈どんぐり子〉らしいと思う。笠が裾を刈り上げた子どもの髪型のようではないか。画面左は、「お池にはまっ」たあと、「泥鰌が出てきて今日は(※右)」をしているところ。しかし、「やっぱりお山が恋しい」と泣き出した(どんぐり子)を、泥鰌が困った顔つきで見守るのがその下の絵である。上部は本物の葉っぱのフロッタージュ。葉脈を画面に写し取った。

     


どんぐりのオカッパかつらをはずすのが好きだった。はがしたら、またはめてあそんでいた。
かつらをとると、日焼けしていない生っちょろい部分に弱点を見つけて愛しくおもったこともあった。
ピーナツや二枚貝を割ってまたもどす快感に似て、ピタリとはまると、ひとつの仕事が達成した満足感があった。
1976年、24歳の私は「peanuts」という銅版画の小品を制作した。動機はどんぐりにあったのね。


『Peanuts』1976年 エッチング / 紙   14.5 × 29.5 cm  ©️Yoko Yamamoto



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Posted by: lucas



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