新刊の出版を記念して 山本容子展 ─2つの旅─

丸善名古屋本店で、5月31日、本日オープンします。
6月4日、午後2時からサイン会をいたします。
会場でお待ちしています。

山本容子


2つの旅。脳内の旅と、室外を歩き廻る旅。コロナ禍の日常は、室内で本、映画、音楽と親しい時間を過す機会に恵まれています。 1つ目の脳内のひとり旅は、選べばどんなクリエイターでも旅の道連れとなってくれます。『ハムレット!ハムレット!!』という本には、シェイクスピアの「ハムレット」のパスティーシュをはじめ、全て「ハムレット」にちなんだ12の作品が入っていて、太宰治からはじまる昭和の大作家たちの熱愛ぶりに圧倒されます。このアンソロジーは、編集者が20年温めていた企画です。ここに新たに谷川俊太郎さんの詩と私の銅版画が収められました。2つ目の旅は、歩き神に誘われて10年前に出掛けた俳句の世界への私の旅。吟行という旅で、あるいは仕事で出掛けた土地で生まれた俳句を集めました。『山猫画句帖』は、この10年間に読売新聞の連載で制作した銅版画と俳句をコラボした本で、日常生活の記録です。2冊の本の原画展で、一緒に旅に出掛けませんか。




展覧会情報

■会期:2022年5月31日(火)〜6月6日(月)
■サイン会:2022年6月4日(土)14:00〜15:00
※当ギャラリーにて対象書籍をお買い上げのお客様先着80名様に、5月31日(火)より整理券をお渡しいたします。
■営業時間: 10:00〜21:00 ※最終日は17時閉場
■場所:丸善名古屋本店 6階ギャラリー 入場無料
460-0008 愛知県名古屋市中区栄三丁目8-14 TEL(052)238-0320


シェイクスピアの「ハムレット」といえば、誰でも知っている(と思い込んでいる)世界の名作。でも、この作品には様々な謎が潜んでいるのです。その証拠に世界中で(いや、とりわけ日本で)「ハムレット」を素材にした数々の「書き換え」や「語り直し」作品が存在します。しかもそれらの作品は、日本文学史を彩る文豪たちの手になるもの。ここにそれらを集成した一冊のアンソロジー(題して『ハムレット! ハムレット!!』)があって、太宰治、志賀直哉から小林秀雄、中原中也、そして福田恆存、大岡昇平などの傑作が収められているのです(谷川俊太郎さんの書き下ろしの詩も一篇)。編者はこのアンソロジーを編むにあたって、カバーと巻頭にこれら大作家たちの作品を支える舞台美術ともいうべき絵巻物を掲載したいと考えたのでした。となると、画家はあの『シェイクスピアのソネット』を描いた山本容子さんを措いて他にはいないではありませんか。

というわけで、ここに赤を基調にした艶やかな「山本容子のハムレット」が完成しました。主要な登場人物が見事に描かれているのはもちろんですが、注目すべきは、ハムレットの親友ホレイショーの造形です。この脇役と思われてきた重要人物が随所にさりげなく描かれているのにご注目ください。まさに山本容子マジックです。