LUCAS MUSEUM|山本容子美術館 

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TITLE:【Gallery】Let's go to my gallery 〜チューリップ畑をつまさきで〜

July 30.2020


4 『夏の森ーカオリとバナナ』


©️Yoko Yamamoto


夏を迎えた森は、深い緑色におおわれます。
チューリップの花は咲きおわったのですが、この時土の中では、
来年咲くチューリップの球根の子供たちが育ってゆくのです。

主人公のふたりの女の子の球根を登場させました。
球根の性格を考えて、左側がシンシア種のカオリ。
友人の江國香織さんの名前をつけました。勝手にですが。
雪のように白いチューリップになりたいカオリです。

右側はラーレと同種の黄色いチューリップのバナナ。
友人のよしもとばななさんの名前をいただきました。ことわりもなく。
南の島の話を書いていらしたので、カオリと対称的な性格が出てくるのではと思ったのです。
このネーミングは初夢の中のことでした。

木の上には鳥のTUGUMI!冷たいチョコレートが好物のカオリと、ヨガをするバナナ。
地味な球根ですが、名前をつけたとたん二人のチューリップの少女の話が動きだしました。

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July 26.2020


3 『春の森ー女王のラーレ』


©️Yoko Yamamoto


今年も森に春が来ました。
雪解け。その水分を吸った球根は、光を浴びて土から芽が生えるのです。
太陽になっているのは、チューリップの女王のラーレ。
ラーレとは、赤い花という意味です。

「この森のチューリップは歩けます」なぜでしょう。ここが物語のポイントです。
ひみつを探ってゆきましょう。
森の中の馬、猫、犬は、実際森の中に住んでいる友人の飼っている動物です。
この家で真白の世界が消え、春の森に移りゆく時間を体験しました。
力強い生命の誕生のシーンです。

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Posted by: lucas

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July 23.2020


1 『ルーカスとチューリップ』


©️Yoko Yamamoto


あたたかな風に吹かれ、揺れているチューリップ。
その中でつまさき歩きをしているのは、鎌倉の海から私のアトリエに迷いこんできた犬のルーカス。
33年前の7月のことでした。



2 『冬の森ー妖精のシンシア』


©️Yoko Yamamoto


雪景色。でももうすぐ春を迎える森。北海道の富良野の森に通い、この物語の構想をねりました。
雪の下には様々な植物がねむっているはずです。チューリップの球根もきっと。
雪が溶けつつキラキラ輝いて舞いおりる姿に、妖精を感じました。
その妖精を、チューリップに春を告げるシンシアと名付けました。
シンシアはチューリップの原種名です。ルーカスは森の番犬として登場します。

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Posted by: lucas

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July 19.2020

新刊書籍                     
『プラテーロとわたし』                                      
 J. R. ヒメネス=作  波多野睦美=訳
 山本容子の新作銅版画28点を収録
 A5変型版上製120ページ
 本体価格1,700円(税別)              
 理論社
 詳細はこちらより

新刊書籍
『チューリップ畑をつまさきで』
著者:山本容子
2017年10月 出版
本体価格1,500円(税別)
偕成社
詳細はこちらより



©️Yoko Yamamoto 「Tip-Toe Through The Tulips with me」2014年作


歌詞を訳してみた。



音符も絵にして表紙にしてみた。このチューリップや犬、ねこの頭は音符になっている。
絵を見ながら歌ってくれるといいなあと思った。


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July 16.2020


28 『モゲールの空にいるプラテーロへ』


©Yoko Yamamoto

プラテーロの魂と共に、モゲールの野山の魂も天に昇った。
思い出は「日ごとに より良く より穏やかに より澄んで」
ヒメネスの魂となって天に昇ってゆく。
土に眠るプラテーロの心臓から咲いたアイリス。
アイリスの前に佇むヒメネス。

プラテーロとヒメネスは、本の中で生き続けます。了

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July 14.2020


27 『メランコリー』


©Yoko Yamamoto

プラテーロの墓のある場所。
プラテーロの魂のように、アイリスの花から花へととびまわる
白い蝶が軽やかだ。

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July 12.2020


26 『ノスタルジア』


©Yoko Yamamoto

プラテーロの優しい悲しげな鳴き声が
よく晴れた西の空に聞こえてくる。いつも、いつまでも。
プラテーロと一緒にみたものすべては
いまもプラテーロが見ている。
草花もくたびれたロバの群れも、きっと見ている。

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Posted by: lucas

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July 09.2020


25 『死』


©Yoko Yamamoto

「しんとした厩。光りながら飛んでいた。
小さな窓からさす光の中を。美しい三色の蝶がただ一羽。」

プラテーロは死んでいた。
四つの脚は硬く血の気をなくし、天をさしていた。
最も美しい言葉とリズムとあっけない死。
プラテーロの魂のカタチは、プラテーロのカタチにした。

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July 07.2020


24 『カーニバル』


©Yoko Yamamoto

日暮れ時のカーニバル。寒い。
子供たちは、ロバの鳴き真似をしながら、彼を鳴かせようと
プラテーロを囲んで回りつづけている。
男らしく、逃げ出すプラテーロ。でもプラテーロは泣きべそをかいてしまった。
ロバは鳴くけれど泣かないのに。

アラベスク模様の馬飾りがすべりおちた。
私はモロッコのフェズで見つけたタイル模様がバラバラになるところをイメージした。
プラテーロのけりあげた後ろ足は、今までの版画のどこかにかくれていますよ。

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Posted by: lucas

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July 05.2020


23 『回復』


©Yoko Yamamoto

インティメイトな時は「冷たく 同時に暖かく 永遠の輝きに満ちている」
ヒメネスは「療養の部屋の中」でクリスマスの夜の通りの音を聞いている。
そして想像をする。
「栗を焼く煙と 厩から立ち上る湯気 平和な暖炉の息づかいに包まれている町」を。
プラテーロの鳴き声を遠くに感じながら、思い浮かべては感動する。親密な時を。

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