10 『トルコのさみしい王様』


©️Yoko Yamamoto


トルコの宮殿は天井が高いので、カオリは昼はキューコンチョーに乗って見物。
夜はキューコンチョーがベッドです。さみしくなんかないと強がっています。
そんな中、さみしそうな顔をした王様の肖像画をみつけました。
王様のターバンはチューリップのお花みたい。
王様の椅子もチューリップの模様だと気がつきました。
チューリップが大好きだったのかしら?でもどうしてさみしい顔をしているの?
とカオリは王様にささやきかけました。

トルコのチューリップのことを調べていたら、
オスマン帝国の歴代君主の肖像画をみつけました。
13Cの第1代オスマン1世から、18Cのマフムト2世までの30代にわたり、
王様は白い立派なターバンを戴冠した姿で描かれています。
ターバンを、白いチューリップが赤いチューリップを抱いた姿だと考えたとたん、
物語がまた動きだしました。

肖像画の中で15Cの第7代メフメト2世は、
コンスタンティノープル(イスタンブール)を攻略して
ビザンツ帝国(東ローマ帝国)を滅ぼしてオスマン帝国を広げたことで有名ですが、
彼も同じターバンを頭にのせて、手には小さなバラの花を持ち、その香りをかいでいます。
りりしい顔をしていますが、瞳には哀愁が感じられました。
で、王様とチューリップの関係を想像してみたくなりました。
モデルは第11代セリム2世です。やさしくてさみしそうな顔の秘密とは?