辻邦生展 軽井沢高原文庫を訪ねて。

軽井沢高原文庫に小旅行。小雨の音を聴きながら、まずは、辻邦生さんの展示を拝見。懐かしい先生の資料や仕事場の机椅子が暖かい雰囲気で、親密な気分が湧きました。奥の扉から敷地内を散策。堀辰雄山荘では、昆虫をテーマにした歌とスケッチの展示。ケースの蓋をひとつずつ開けながら、懐かしい気分になりました。そして、万平ホテルの近くにある室生犀星の旧居を訪ね、毎年の夏を過ごされた日本家屋の素晴らしいシックな佇まいに感動しました。ここから作品が生まれたのですね。芥川龍之介と二人で制作しながらの時間を過ごされたのですね。話しかけながら彼の日録がよみがえりました。樹の、苔の、雨垂れの薫りに包まれました。辻邦生さんの生誕100年のお祝いの旅でした。

山本容子