11 『トルコの広場』


©️Yoko Yamamoto


カオリは何日もかけて宮殿のすべての部屋を鑑賞し、最後に塔のてっぺんに登りました。
塔から見おろした海を見て、バナナが海におっこちたことを思い出しました。

バナナは、トルコ行の船の上から宮殿を見つけて思いました。
宮殿の屋根はキューコンのカタチをしています。
きっとカオリはあそこにいるにちがいないと。

トルコのイスタンブールには、アヤソフィアという世界遺産の建物があります。
私が旅をした時は、博物館でした。
6C東ローマ帝国時代にキリスト教正教会の大聖堂としての建設を起源として、
15Cからはイスラム教のモスクとなり、20Cに博物館になりました。
2つの宗教の様式が重なっている建物は、いつも夕陽に輝いているように真赤でした。
内部の壁面全部にイスラム文字が描かれていましたが、
修復中の柱の上部のイスラム文字の下から、
金髪でブルーの瞳をした天使が顔をのぞかせた光景は忘れられません。
まるで、止まっていた時間が動き出したような不思議な気持ちになりました。
ドーム状の屋根のカタチをキューコンと見立てると、
カオリとバナナが出会う絶好の場所だと思ったのです。
さて、やっとカオリとバナナは出会えることになりました。よかった。